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アンゴラは、アルジェリア、ナイジェリアに肩を並べるアフリカ有数の産油国である。中国(33%)、米国(28.7%)に輸出する。同国には30万人の中国人がいるという。

ここが、恐ろしいことにドスサントス(Jose' Eduardo dos Santos)大統領の長期独裁政権下にある。1975年に独立し、アゴスティニョ・ネト初代大統領に次ぎ、1979年に就任してからそのまま大統領職にある。同国では大統領選はまだ一度も行われていない。2009年に行われる予定であった大統領選は延期されている。あまつさえ、2010年1月までには憲法を改正し、大統領を議会による選出とした。2012年に議会選が予定されている。

この長期独裁政権にあって、同国の平均寿命は38.20歳である。AIDSの影響は、少なくとも統計上では明らかではない。統計に信頼性があるかどうかは、人口が1849万人(国連)、1280万人(CIA)、1720万人(外務省)とばらばらなことからおよそ推定がつく。公用語はポルトガル語である。すべての国民がポルトガル語を話すという公式見解が、まことしやかに語られている。民族構成は、オヴィンブンド人(Ovimbundu 37%)、キンブンド人(Kimbundu 25%)、バコンゴ人(Bakongo 13%)、ポルトガル系(1%)。

アンゴラでの内戦では、360万人もの死者が出ているという。内戦は、2002年にジョナス・サヴィンビ議長が死亡したことで終結した。反政府勢力、ザイールの支援を受けたFNLAやUNITAは、ダイヤモンド鉱山を資金源とし、米国の支援などを受け、政府側のMPLAと対立した。MPLAは、油田を資金源とし、キューバやソ連の支援を受けたという。MPLAとの戦闘には、南アの民間軍事会社エクゼクティブ・アウトカムズが関わったという。飛び地であるカビンダ(Cabinda)州で、独立運動が行われている。

2005年には日本大使館が設置された。双日がセメント工場を、日立建機がメンテ工場を建設するなど、日本企業の活躍もあるという。ODAは、年間2億6300万ドルほどで、米国に次ぐ規模である。

アンゴラへの進出は、インド国営石油天然ガス公社(ONGC)が入札に参加するなど、活発に行われている。ポルトガルは、ビール工場を建設するという。同国に、ポルトガル人は10万人ほどいるという。

一方で、長期独裁政権との癒着も指摘されている。ある米上院議員は、HSBCがアンゴラ高官の銀行口座を設置したことを指摘した。同国が、選挙を行い、民主化し、透明で信頼性のある政府を確立するまでには長い道のりが必要である。石油メジャーや中国政府との関わりは、その道のりが安易ではないことを示唆している。国際社会そして国連の果たすべき役割に期待すると同時に、メディアとわれわれの認識がその第一歩であることを指摘したい。